人は善の心をもって生まれるのか?悪の心をもって生まれるのか?ー「ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか」より
この間読んでみた本。
「ヒトの本性 なぜ殺し、なぜ助け合うのか」
タイトルを聞くとギョッとするけど、なかなか面白い本だった!
この本は主に二章に分かれていて、
前半は、人の悪について
後半は、人の善について
様々な実験や歴史的見解から探っていく本でした。
うんうん、この根拠となっている実験が今まで知らないようなネタで豊富になってて面白かった^^
まず前半で気に入った部分は、
”犯罪の起こしやすさは、脳できまる”というトピック。
犯罪者の脳を調べると扁桃体や前帯状皮質という部分において、犯罪を起こした人と起こしてない人で違いがあるということがわかったそう。つまり人格以前に、脳に犯罪を犯す危険性が潜んでいたことになる。
このことから、「刑務所に入れて犯罪者が改心するのを狙う」という従来の刑は、もしかして的外れなのではないのかなと思いました。
また将来、アニメ「PSYCHO-PASS」のように「犯罪係数」で犯罪の防止を行ったり、犯罪者の刑を決めたりする未来があるのかもしれないですね〜。
そうなったらほんとに恐ろしいけど...。
もう1つなるほどと思った話題は、
”ヒトの教養がつくほど、争いはなくなっていく”という話。
人間の知力が昔に比べ上がっていることは確かで、筆者の言う通り今も紛争はあるけれども長い目で見ると、世界全体で争いの数は少なくなっていると言えるなぁと思いました。いつか世界から戦争がなくなれば幸せだなぁ。
後半では、
”褒美をあげると、意欲は下がる”という話が面白かったですね^^
これは、援助行動をした赤ちゃんに褒美をあげる場合とあげない場合で、その後の援助行動の回数にどのような影響が出るかを調べる実験でした。
実験の結果、報酬をもらった赤ちゃんの方が援助の回数が少なかったことから、自主的な援助行動に褒美は意欲を下げる作用を施すことがわかりました。
褒美が悪影響を及ぼすこともあるんですね(°_°)
その他にも、”他人にお金を使うほど幸せを感じる”という話が面白かったな〜。
これは実験者にお金を与え、それを他人のために使う人と自分のために使う人に分け、そのあとの幸せの度合いを比べた実験でした。
実験の結果、どの年代、国籍、寄付したお金の金額でも他人に与えた方が幸せを感じるという結果になり、与える行為に幸せを感じるのは人類に共通する傾向であることがわかっています。
自分に使うよりも他人に与えることで幸せを感じるなんて、心の豊かな動物ですね^^
さてタイトルにもありましたが、
人は生まれながらにして善なのでしょうか、悪なのでしょうか?
この本の著者は、「人は生まれながらにして善の心を持っている」と主張しているように感じました。
この根拠は本書にたくさん載っていますが、私が最も納得した説は、1歳児の赤ちゃんでも援助行動を行うという実験です。
まだ他者の感情をうまく読み取ることができない赤ちゃんでさえもそういった援助行動をするのだから、ヒトは本能的に助け合うようにできているという風に筆者は解釈しています。
また上に書いた、他人にお金を使うほど幸せを感じることや、褒美のない方が自発的に援助行動を行うといったことからも、ヒトの善の心がわかるのではないでしょうか。
ここに書いた以外でもたくさん面白いトピックがありました^^
オススメです!是非読んでみてください。